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自宅をペアローンで購入したが離婚!共有名義の自宅の賢い売却戦略と対処法

更新日時:2025年11月11日



ペアローンを組んでマイホームを購入したものの、離婚する場合、共有名義の自宅をどうすればよいか、頭を悩ませる方は少なくないでしょう。夫婦共有名義の不動産は、離婚時にさまざまなトラブルの原因になりがちです。

 

この記事では、共有名義の自宅が抱えるリスクから、共有解消のための具体的な方法、そして円滑に財産分与を進めるための賢い売却戦略まで、わかりやすく解説します。

 

離婚時に問題となる「共有不動産」


不動産は一人の所有者が単独で名義を持つのが基本です。しかし、マイホーム購入のため、夫婦で協力して資金計画を立てた場合、共有名義での所有となるケースは珍しくありません。代表的な例として、夫婦それぞれでローンを組む「ペアローン」や、収入を合算してどちらかが連帯債務者となるケースが挙げられます。

 

夫婦関係が円満なうちは特に問題にはなりませんが、離婚するとなるとこの共有名義が大きな問題となり得るのです。離婚時には、夫婦が婚姻中に協力して築き上げた財産を公平に分配する「財産分与」を行うことになっており、共有名義の不動産もその対象となります。

 

財産分与とは、預貯金や不動産、保険など、名義を問わず夫婦の協力によって得た財産すべてを分け合う手続きです。たとえ専業主婦(主夫)であっても、家事や育児による貢献が考慮されるため、原則として財産形成に対する貢献度は等しいとみなされます。このことから、出資額にかかわらず、財産を「2分の1ずつ」に分けるのが基本です。分与割合は夫婦の話し合いで自由に決められますが、話がまとまらず調停や裁判に進んだ場合、この「2分の1ルール」が議論の土台となります。

 

一方、共有不動産の共有持分は出資割合に応じて決まるため、どちらかが多く出資していれば、持分は「2分の1ずつ」とはなりません。このように、財産分与と共有持分割合の間に差が生まれる可能性がある点には、注意する必要があります。


自宅の共有名義がもたらす4つのリスク


離婚後も自宅を共有名義のままにしておくと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。自宅の共有名義がもたらす4つのリスクについて、詳しく見ていきましょう。

売却や賃貸などがしづらくなる


共有不動産は、活用や処分に大きな制約がかかります。不動産全体を売却したり、長期で賃貸したりするには、共有者全員の同意が必要だと民法で定められているためです。また、建物の場合、3年以内の短期賃貸借契約であっても持分価格の過半数の同意が必要とされており、夫婦で持分を2分の1ずつ保有している場合、結局は元配偶者の同意なしには何も進められません。

 

離婚後、不動産を活用しようとするたびに元配偶者の同意を得なければならない状況は、精神的にも大きな負担となるでしょう。

維持管理費用を負担し続けなければならない


不動産を所有し続ける限り、固定資産税などの支払いが求められます。共有不動産の場合、これらの税金は共有者全員で分担して納付するのが基本ですが、納税通知書は代表者一人にしか送付されません。そのため、代表者がいったん全額を立て替え、後から元配偶者に負担分を請求する必要があります。離婚後の関係性によっては、清算が円滑に進まない可能性も考えられるでしょう。

 

そのうえ、建物の修繕費や設備の修理費といった維持管理コストの負担も、同様にトラブルの原因となりかねません。

住宅ローンの契約違反に該当するおそれがある


多くの住宅ローンでは、「契約者自身がその物件に居住すること」を融資の条件としています。ペアローンは夫婦それぞれが契約者であるため、本来は二人ともその自宅に住み続けることが求められます。

 

したがって、離婚により一方が家を出て別居状態になると、契約条件違反とみなされるおそれがあるのです。万が一、契約違反と判断された場合、金融機関からローン残債の一括返済を求められる可能性もあるでしょう。

相続トラブルを引き起こすおそれがある


共有名義を解消しないままどちらか一方が亡くなると、事態はさらに複雑化する可能性があります。亡くなった元配偶者の持分は、その法定相続人に引き継がれるためです。

 

相続人が二人の間の子どもだけであればまだしも、元配偶者の再婚相手や子どもなどがいる場合、見ず知らずの第三者が不動産を共有するという事態になりかねません。将来的には、自分自身の相続が発生した際、自分の子どもたちと元配偶者の相続人との間で新たなトラブルが発生するおそれもあります。

 

離婚で共有名義を解消する3つの方法


これまで見てきたようなリスクを回避するには、離婚のタイミングで共有名義を解消するのが賢明です。共有名義の解消方法としては、大きく分けて3つの方法が挙げられます。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分の状況に合った方法を選択しましょう。

 

夫婦どちらかの単独名義にする


夫婦のどちらかが離婚後も自宅に住み続ける場合、その人の単独名義に変更する方法が考えられます。住宅ローンを完済しているなら、手続きは比較的シンプルです。家を出る側が住み続ける側に持分を譲渡し、持分移転登記を行えば名義を一本化できます。その際、住み続ける側が家を出る側に自宅評価額の2分の1相当の代償金を支払うことで、公平な財産分与となるでしょう。

問題は住宅ローンが残っているケースです。ペアローン契約のまま名義だけを変更することは、金融機関が基本的に認めないため、まずは残債を完済しなければなりません。住み続ける側が単独名義で新たにローンを組み、その借入金で既存のペアローンを完済(借り換え)するのが一般的です。


共有不動産を売却する


夫婦のどちらも家に住む予定がないのなら、共有不動産そのものを売却するのが最もわかりやすい解決策といえるでしょう。売却価格がローン残債を上回る「アンダーローン」の状態であれば、売却で得た現金を財産分与の原則に沿って分配すれば、公平に解決できます。

一方、売却価格がローン残債に満たない「オーバーローン」の場合、売却代金だけではローンを完済できず、抵当権も抹消できないため売却自体ができません。この場合、夫婦の自己資金などで不足分を補填する必要があります。

もし補填が難しい場合は、金融機関の合意のもとで進める「任意売却」を検討することになります。ただし、任意売却では、市場価格より安価での売却となるでしょう。

 

財産分与後に共有持分のみを売却する


元配偶者との話し合いが難航し、不動産全体の売却に同意を得られない場合、自身の共有持分のみを第三者に売却するのも選択肢の一つです。財産分与後であれば、自分の持分を処分するのに元配偶者の同意は必要ありません。

ただし、権利関係が複雑な共有持分を一般の個人が購入することは考えにくいため、売却先は共有持分の買取を専門で行う不動産会社となるのが一般的です。この方法を採る場合、共有持分の売却は必ず財産分与後に行いましょう。財産分与前に売却してしまうと、ローン契約違反や財産分与時のトラブルに発展するリスクがあるためです。

 

離婚で共有名義の自宅を売却する際のベストな戦略


離婚に伴い共有名義の自宅を売却するなら、最適なタイミングは「離婚届を提出する前の同居中」です。

 

離婚後の気まずい関係のなかで連絡を取り合うより、同居していて話がしやすい離婚前に手続きを進めるほうが、精神的なストレスは小さくて済むでしょう。不動産を現金化すれば、客観的で公平な財産分与が可能となり、将来のトラブル防止につながります。

 

オーバーローンの場合でも、不足分の負担について冷静に話し合う時間を確保しやすいのも、離婚前に売却を検討するメリットです。複雑な手続きや感情的な対立が伴う離婚だからこそ、不動産の問題はシンプルに解決するのが得策であり、離婚成立前の売却がベストな戦略といえます。


まとめ


夫婦で協力して購入した共有名義の自宅は、離婚時にさまざまなリスクを抱える原因となり得ます。共有名義の解消法にはいくつか選択肢がありますが、2人で意見を合わせられるのであれば、不動産全体を売却して現金で財産分与するのが最もシンプルな解決策です。そのうえで、売却は協力関係を築きやすい離婚前に進めるのが理想といえます。

もし夫婦間での話し合いが難航するようであれば、不動産会社や弁護士などの専門家の力も借りながら、できるだけ速やかに共有状態を解消しましょう。

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