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共有持分とは?メリット・デメリットを知って後悔しない選択を

更新日時:2025年07月11日


共有持分とは?


不動産の「共有持分」とは何を意味するのでしょうか。まずは、共有持分の概要と、不動産で共有持分が生じる主なケースについて解説します。

共有者の持つ権利の割合を意味する「共有持分」


通常、一つの不動産に対して所有権を持つのは1人のみというのが基本です。しかし、何らかの理由で、複数の人が共同で一つの不動産を所有する場合があります。

 

このような不動産を「共有不動産」とよび、所有権を持つ人々のことを「共有者」といいます。そして、各共有者が有する所有権の割合のことを「共有持分」と呼ぶのです。

 

例えば、3,000万円の不動産をA・B・Cの3人でお金を出し合って購入するケースを考えてみましょう。Aが1,500万円、Bが1,000万円、Cが500万円を出資したとすると、それぞれの共有持分はAが1/2、Bが1/3、Cが1/6となります。


不動産の共有が発生する主なケース


不動産が共有状態になるケースとしては、主に次の3つのパターンが挙げられます。

①一つの不動産を複数の相続人で相続した場合

②夫婦や親子でペアローンを組んで自宅を購入した場合

③複数人で出資して一つの不動産を共同購入した場合

 

特に、①の相続で共有状態になったケースや、②のペアローンで自宅を購入したケースでは、当事者間の関係性の変化などによって、深刻なトラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。

 

共有持分を所有するメリット


 

一般的にリスクが高いとされる共有持分ですが、状況によってはメリットが期待できることもあります。特に、夫婦でペアローンを組んでマイホームを購入するケースは、共有持分のメリットを活かした代表例といえるでしょう。

平等に相続できる


土地はまだしも、建物に関しては物理的に分割するのが難しいので、相続財産に不動産が含まれていると、相続人の間での不公平が生じやすくなります。売却して現金化すれば平等に分配できるものの、不動産の所有権を手放したくない場合もあるでしょう。

 

このような場合、不動産を共有で相続すれば、相続人ごとの持分がはっきりと数値で示されるため、平等な遺産分割が可能になります。

住宅ローンの審査に通りやすくなる


マイホームを購入する際、夫婦や親子でペアローンを組むと、それぞれの収入を合算した世帯収入で住宅ローンの審査を受けられます。こうすることで、単独でローンを組むより、借入期間や借入可能額などをより有利な条件で借り入れられるのがメリットです。借入可能額が増えれば、マイホームの選択肢が広がるでしょう。

 

ペアローンを組むと、夫婦もしくは親子での共有名義での所有となり、それぞれの借入金額に応じた割合で共有持分を取得します。

税金面で有利になる


不動産を共有することで、税金面で有利になる場合もあります。例えば、ある共有者が亡くなって相続が発生した際、相続税の課税対象は不動産全体ではなく個人の共有持分となります。そのため、単独所有の場合よりも相続税評価額を抑えられ、相続人の経済的な負担を減らすことにつながるでしょう。

 

また、ペアローンでマイホームを購入すると、夫婦や親子それぞれが住宅ローン控除の適用対象となります。さらに、自宅を売却する際には、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例をそれぞれが利用できます。結果として、全体で最大6,000万円の控除が可能となり、大きな節税効果が期待できるのです。

 

共有持分を所有するデメリットやリスク


 

上記のようなメリットがある反面、共有持分にはそれ以上に多くのデメリットやリスクが潜んでいます。トラブルを未然に防ぐためにも、どのようなリスクがあるのか理解しておくことが大切です。

不動産の売却や利活用がしにくい


共有持分の大きなデメリットは、不動産の売却や利活用のハードルが高い点です。共有不動産全体を売却したり、建て替えたりする「変更行為」には、共有者全員の同意が求められます。また、不動産を第三者に貸し出すといった「管理行為」を行うにも、持分割合の過半数の同意を得なければなりません。

 

このように、共有不動産は利活用の方法一つを決めるにも共有者間の合意形成が求められるため、通常の不動産に比べて流動性が低く、扱いにくいのが実情です。

共有者同士のトラブルが起きやすい


不動産の維持管理や活用方針については、共有者それぞれの立場や経済状況によって、考え方や希望が異なるのが当たり前です。

 

しかし、上記のとおり、共有不動産の変更行為や管理行為を行うには、共有者同士で合意形成をしなければなりません。費用負担の割合、リフォームの要否、売却や賃貸のタイミングなどさまざまな場面で意見が対立するため、トラブルに発展しやすいのは共有持分の大きなリスクといえるでしょう。

相続が発生すると権利関係がさらに複雑化する


共有者の一人が亡くなると、その人が持っていた共有持分は、配偶者や子どもなどの相続人に引き継がれます。もし、亡くなった共有者に相続人が複数いた場合、一つの共有持分がさらに細分化されてしまう可能性があります。このような代替わりが繰り返されると、共有者の数が膨らんでしまい、権利関係はますます複雑化していくでしょう。

 

このような状況を放置していると、いずれ誰が共有者なのかを把握することすら困難になり、売却や活用が一層困難になるおそれもあります。

 

共有持分のリスクを回避する4つの方法


 

多くのリスクを抱える共有持分ですが、リスクを軽減してトラブルを事前に回避するには、どのような方法が有効なのでしょうか。ここでは、代表的な4つの手法を紹介します。

(1)共有持分のみを売却する


共有不動産そのものを売却するには共有者全員の同意が必要ですが、各共有者の有する共有持分だけであれば、単独の判断で売却することが可能です。共有持分の売却を検討する際は、最初に他の共有者へ買い取ってもらえないか、相談してみるのがよいでしょう。他の共有者への譲渡が難しい場合は、第三者に売却するのも一つの方法です。

 

ただし、共有持分という限定的な権利は、一般市場だとほとんど買い手がつきません。そのため、共有持分を専門に買い取る不動産会社へ依頼するのが有力な選択肢です。

(2)共有不動産を分筆する


共有不動産が土地の場合、複数の土地に分割する「分筆」を行い、それぞれの土地を単独名義にするという方法もあります。

 

しかし、分筆を行うには他の共有者全員の同意が必要となります。仮に分筆の同意を得られても、場所によって日当たりや利便性などが異なるため、公平な分割方法をめぐって意見が対立する可能性もあるでしょう。さらに、分筆の前提として実施する、測量や登記に費用と手間がかかる点も課題です。

(3)共有物分割請求を行う


「共有物分割請求権」という共有者全員が有する権利を行使し、他の共有者に対して共有状態の解消に向けた協議を持ちかけることもできます。協議が不調に終わった場合は、裁判所に「共有物分割訴訟」を起こすことも可能です。訴訟を起こせば、多くのケースで共有状態を解消できるでしょう。

 

ただし、訴訟には時間や費用がかかるうえ、分割方法を裁判所の判断に委ねることになるので、望んだとおりの結果になるとは限りません。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

 

【関連記事】共有物分割訴訟には時間がかかる?その他のリスクもわかりやすく解説(1本目の記事)

(4)共有持分を放棄する


「とにかく共有関係から抜け出したい」という場合は、自分が持っている共有持分を放棄する方法もあります。放棄した持分は、持分割合に応じて他の共有者へ配分されます。

 

ただし、持分が増える他の共有者に贈与税が課されたり、固定資産税の負担が増えたりする可能性がある点は留意すべきでしょう。また、持分放棄に伴う登記に他の共有者の協力が不可欠なため、関係性が悪化している場合には現実的な方法とはいえません。

 

まとめ


共有持分を所有することは、不動産の自由な利活用が難しかったり、共有者間のトラブルに発展しやすかったりといった多くのデメリットをはらんでいます。特に、相続などで意図せず共有者となってしまった場合は、権利関係がさらに複雑化する前に、早めに解消へ向けて検討を始めることが大切です。

 

まずは共有者間で話し合いの場を持つことから始め、なかなか協議が進展しない場合には、共有持分の売却も含めて検討するとよいでしょう。

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