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共有持分は勝手に売却していい?共有者の同意を得る必要性を解説

更新日時:2025年06月9日

 



相続などで不動産の共有持分を取得したものの、特に活用していない場合、売却したほうが良いケースも少なくありません。自分の共有持分のみを売却するとき、他の共有者の同意を得る必要はあるのでしょうか。

この記事では、共有持分の売却における共有者同意の必要性を、法的な側面と関係性の側面から解説します。また、これから具体的に検討する方へ向けて、共有持分を売却する4つの方法も紹介します。

共有持分とは?共有に関する言葉の意味


不動産の所有権は通常1人のものですが、相続人が複数いる場合の相続不動産のように、所有者が複数となる不動産も存在します。このような不動産のことを「共有不動産」と呼び、共有不動産の所有権を有する人々を「共有者」といいます。

今回の主題である「共有持分」とは、共有不動産において、各共有者が持っている所有権の割合のことです。所有権割合を示す具体的な数値は「持分割合」と呼ばれます。


共有持分の売却に共有者の同意は不要


 



各共有者が有している共有持分を売却しようとするとき、他の共有者の同意を得る必要はあるのでしょうか。結論から言えば「不要」です。

民法第206条において、所有者は自由に所有物を使用・収益・処分する権利を持つとされています。共有持分も共有者の所有物と考えられることから、自分の意思で自由に売却できるのです。

第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

(引用)e-Gov法令検索「民法

法的な側面から見れば、共有関係から早期に離脱するために、他の共有者の同意を得ずに自身の共有持分を売却しても問題はありません。

共有不動産の売却には共有者全員の同意が必要


なお、共有不動産そのものを売却するためには、共有者全員の同意が必要とされています。そのため、一人でも売却に反対する共有者がいると、第三者へ売却することはできません。

共有持分はあくまで共有者個人の持ち物ですが、共有不動産は全員で所有しています。売却は、民法で規定される「変更行為」に該当すると考えられるため、他の共有者の同意を得なければ行えない決まりになっているのです。

第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
(引用)
e-Gov法令検索「民法

共有持分の売却も共有者の同意を得るべき2つの理由


 



前述のとおり、法的には、他の共有者の同意を得ずに共有持分を売却することが可能です。とはいえ、実際にはできるだけ同意を得ておいたほうが得策といえます。なぜ、共有持分の売却も他の共有者の同意を得るべきなのか、2つの理由を紹介します。

(1)他の共有者との関係が悪化する恐れがあるから


1つ目の理由は、同意を得ずに共有持分を売却すると、他の共有者との関係が悪化する恐れがあるからです。

他の共有者に相談することなく、勝手に共有持分を売却し、買主が敷地内に立ち入ったときのことを考えてみましょう。買主は共有持分を取得しているので、立ち入ることには何ら問題がないものの、事情を知らない他の共有者からすれば「見知らぬ第三者が勝手に敷地へ出入りしている」という印象になります。ここから、買主と他の共有者間でトラブルに発展するかもしれません。

また、共有不動産は血縁者や親族で共有しているケースが大半ですが、共有持分が売却されると第三者が入ってくることになります。その結果、共有者間での合意形成がより難しくなる可能性もあるでしょう。

他の共有者との関係が悪化すると、共有持分を新たに取得した第三者にとっても不利になる可能性があり、物件の有効活用への道筋を絶ってしまう結果になりかねません。だからこそ、事前に他の共有者へ持分を売却する旨を伝えておき、トラブルを予防することが大切です。

(2)取得した第三者と他の共有者でトラブルになる恐れがあるから


2つ目の理由は、同意なしの売却が要因で、共有持分を取得した第三者と他の共有者間でトラブルになる恐れがあるからです。

共有持分を取得した第三者の目的によっては、他の共有者に対して共有持分の売却・買取を強要したり、共有物分割請求を行ったりすることも考えられます。こうした行為は、他の共有者の生活に影響を及ぼす恐れがあります。特定の共有者が共有不動産に居住しているケースでは、第三者によって、持分に応じた家賃請求が行われる可能性もあるでしょう。

このように、第三者の出現が他の共有者とのトラブルに発展する恐れもあることから、共有持分の売却であっても、事前に他の共有者の同意を得ておくのが安全といえるのです。

共有持分を売却する方法4選


 



他の共有者に話をしたうえで、いざ共有持分を売却するとなっても、共有持分は共有不動産を構成する一部の権利に過ぎません。そのため、通常の不動産同様に一般市場で売却するのは非常に難しいのが実情です。共有持分を売却する場合には、次に挙げる4つの方法が主要な選択肢となります。

(1)他の共有者に買い取ってもらう


他の共有者に共有持分を買い取ってもらうというのが、最もシンプルかつ余計な費用がかからない方法です。「いずれ物件を単独所有したい」「持分割合を増やしたい」と考えている所有者がいる場合、買取を持ちかければ乗ってもらえる可能性があります。ただし、他の共有者に、持分を買い取るだけの資金力が求められる点は注意が必要です。

この方法でトラブルになりやすいのが共有持分の価格設定です。親族同士だからと曖昧に価格を決めてしまうと、値付けの妥当性をめぐって争いになり、関係性の悪化を招いてしまいます。双方が納得できるよう、公的な証拠にもなる不動産鑑定を依頼するなどの対策を検討しましょう。

(2)共有者全員の同意を得て物件ごと売却する


先述のように、共有者全員の同意を得られれば、共有不動産ごと売却することが可能です。共有持分の売却と異なり、物件を丸ごと売却できるため、通常の不動産市場でも売却しやすくなります。また、不動産を売却して現金化することにより、共有者間で資産を公平に分けられる点もメリットです。

しかし、そもそも共有者全員の合意形成を図るのは、ハードルが高いと言わざるを得ません。売却時にかかる仲介手数料や、売却益に対してかかる譲渡所得税などの諸費用を共有者全員で負担しなければならない点も、大きな問題になる可能性があります。

(3)土地を分筆して売却する


共有不動産が土地の場合、分筆して単独名義の不動産とすることで、通常の土地として一般市場でも売却できるようになります。分筆とは、登記簿に記されている1つの土地(一筆の土地)を、複数の土地に分割して登記することをいいます。

以前は、共有地の分筆に際して共有者全員での申請が必要でした。しかし、2023年4月の民法改正によって、持分価格割合の過半数にあたる共有者の申請により、分筆登記ができるようになりました。これにより、分筆による売却のハードルは下がったといえるでしょう。

ただし、分筆した土地ごとに、形状・方角・日当たりなどの条件は異なります。分筆のやり方によっては、土地の資産価値が下がったり、共有者間で不公平感が生じたりする恐れもあります。分筆する場合は、不動産会社などの専門家に事前相談するのが得策です。

(4)専門買取業者に売却する


特殊性の高い「訳あり物件」の売買を得意とする、専門買取業者に売却するという方法もあります。この方法なら、他の共有者に同意を得ることなく速やかに現金化できるため、特に共有関係からの離脱や売却を急いでいる場合におすすめです。

注意点としては、一般の売却相場に比べ、買取価格が低くなる傾向にあることが挙げられます。また、売却後に業者側から他の共有者に対して、持分売却や共有物分割請求などの提案が行われるケースも多いため、事前に他の共有者に断りを入れておいたほうがよいでしょう。

まとめ


民法の規定上、共有持分は他の共有者の同意を得ることなく、各共有者が自由に売却できるとされています。しかし、共有者同士の関係悪化や買主とのトラブルといったリスクを軽減するため、あらかじめ他の共有者の同意を得ておいたほうが無難でしょう。

共有持分の売却方法はさまざまですが、早めに売却したいなら、専門買取業者に売却するのが有効です。売却後のトラブルを避けるためにも、他の共有者に売却する旨を伝えておくとともに、買取実績が豊富で信頼できる買取業者を選ぶことが重要です。

大正ハウジングは、共有持分のみの買取も積極的に承っています。豊富な実績と経験をもとに、共有不動産の早期解消をサポートします。所有する共有持分の扱いで悩まれているなら、ぜひ大正ハウジングまでご相談ください。

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