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共有持分はいくらで売れる?相場のリアルを解説

更新日時:2025年05月9日

そもそも「共有持分」とは何か?


不動産の「共有持分」とは、複数人が1つの不動産を共同で所有している際に、各人が持つ所有権の割合を指します。たとえば、兄弟3人で一つの土地を相続した場合、それぞれが3分の1ずつの共有持分を持つことになります。
この共有状態では、持分のみを第三者に売却することができ、これを「共有持分売却」と呼びます。

しかし、通常の不動産売却とは異なり、共有持分の売却には特殊な事情と相場が存在します。買い手も限られ、流通性も低いため、「いくらで売れるのか?」という疑問に明確に答えるには多くの要素を考慮しなければなりません。

 

共有持分の価格はどうやって決まるのか?


共有持分の売却価格は、単純に不動産全体の価格を持分比率で割った金額にはなりません。以下のような要因が加味され、実際には大幅なディスカウントがなされることが一般的です。

・利用価値の制限:単独で利用・改修・売却できない

・他の共有者との関係性:関係が悪いと買い手が付きづらい

・トラブルの有無:争族や訴訟中だと価値はさらに下がる

・市場の流通性:共有持分の買い手は限られる

・一般的に、持分評価額は市場価格の30〜70%程度にとどまるケースが多く、状況次第では10%台にまで下がることもあります。

 

相場感の実例:評価額別に見たケーススタディ


具体的なケースを見てみましょう。

  1. Aさんのケース:東京都内の戸建て(評価額6,000万円)を兄弟3人で相続。Aさんが売却した3分の1の共有持分は、実勢価格で1500万円(評価額のよりやや安い)に。

  2. Bさんのケース:郊外の空き家(評価額1,200万円)の持分2分の1を売却。買い手がつかず、最終的に150万円で買取業者に譲渡。

  3. Cさんのケース:地方の山林(評価額300万円)、3人共有で2分の1の持分を相続。売却価格はわずか20万円。


これらの事例からもわかるように、共有持分の市場価格は「実勢価格 × 持分比率」ではなく、「交渉力 × 市場環境 × 共有関係性」によって大きく左右されます。

 

通常の不動産売却との違いとは?


通常の不動産売却と、共有持分の売却とでは、目的・流通性・価格形成の3点が大きく異なります

共有持分は、単独で売却可能であるものの、その実務上の難しさやトラブル回避の観点から、買取専門業者に売却するパターンが主流となっています。

 

買取業者を活用した売却の流れと注意点


共有持分をスムーズに売却するには、共有持分の買取を専門とする業者に相談するのが現実的です。以下は一般的な流れです。



ただし、買取業者の選定には注意が必要です。以下の点に留意しましょう
査定額が極端に低くないか
実績や口コミ評価があるか
登記手続きまで一括でサポートしてくれるか

悪質な業者にあたると、トラブルを招く可能性もあるため、信頼できる不動産会社や司法書士と連携することが重要です。

共有持分の売却で後悔しないために


共有持分の売却は、単に「不動産を手放す」というよりも、人間関係や相続問題の清算手段としての側面が強くあります。特に、以下のような悩みを抱えている方には有効な選択肢です。

・他の共有者との関係が悪く、管理が困難
・不動産を活用する見込みがない
・相続後の分割協議がうまくいっていない

一方で、感情的になって即決してしまうと、後々「もっと高く売れたのに」と後悔することもあります。

売却価格に納得できない場合は、一括査定サイトや複数業者からの見積もりを取るのがよいでしょう。

共有持分は価値がゼロではありません。「相場を知る」ことが第一歩であり、賢く動けば現金化も十分可能です。

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