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共有持分で賃貸借契約はできる?法的な可否と注意点を解説

更新日時:2026年02月24日


共有持分とは何か?その基本概念を理解しよう


不動産を複数人で所有する形態として、「共有持分」という制度があります。これは、一つの不動産を複数人が持分(割合)に応じて所有している状態を指します。相続や共同購入の際によく見られ、持分割合に応じた権利と義務を各共有者が持つ仕組みです。

共有持分の特徴は、各共有者が不動産全体に対する権利を持っているという点です。たとえば、土地の50%の持分を持っている場合、土地の半分だけを所有しているわけではなく、全体に対して50%の権利を有していることになります。この点が、実際の運用においてトラブルや誤解を生む要因となります。

「共有持分 賃貸借契約」に関連する法的判断を行う上でも、この基礎的な理解が重要です。特に、各共有者が不動産の使用・収益に関する行動を取る場合、他の共有者との関係が密接に影響してくるため、法律上の扱いは非常に慎重になる必要があります。

 

共有持分だけで賃貸借契約は結べるのか?


結論から言えば、共有者が自分の持分を「単独で賃貸に出すことは可能」です。しかしこれは「持分権そのもの」の賃貸に限られ、実際に物件全体を第三者に貸し出す場合には、他の共有者全員の同意が必要になります。

民法第252条では「共有物の変更には共有者全員の同意が必要」と定められており、建物全体の使用方法を変える賃貸行為はこの「変更」に該当する可能性が高いため、同意が必要とされます。仮に共有者の一人が他の同意を得ずに勝手に賃貸借契約を結んだ場合、その契約は法律上無効または取り消しの対象となることがあります。

たとえば、共有名義のマンションを一人が独断で賃貸に出した場合、他の共有者が「知らなかった」と主張すれば、契約自体が無効となるリスクがあるのです。これは借主にとっても不安定な状態であり、賃料を支払っているのに立ち退きを迫られるケースも考えられます。

 

勝手な賃貸はトラブルのもと―具体例とリスク


実際に、共有持分者が勝手に物件を貸し出したことによるトラブルは少なくありません。以下に代表的な事例を挙げてみましょう。

事例1:借主が退去を迫られるケース
共有者AがB・Cの同意を得ずに物件を賃貸に出したところ、B・Cが訴訟を起こし、借主に対して「占有権が無効」と主張。結果として借主は退去せざるを得ず、敷金の返還なども問題に。

事例2:共有者同士の関係悪化
共有者の一人が得た賃料を独占したことにより、他の共有者との信頼関係が崩壊し、後に持分の売却や訴訟に発展したケースもあります。

このような事態を避けるためには、「共有者全員の合意」が極めて重要です。合意を得ずに行動すれば、契約の無効・損害賠償・信頼の喪失といった多くのリスクを負うことになります。


共有者間の同意を得るためのステップと手続き


「共有持分 賃貸借契約」を円滑に進めるためには、事前に明確な合意形成を行うことが鍵となります。以下は、賃貸に出す前に踏むべきステップです。

共有者全員への事前説明と相談
賃貸の目的、賃料、契約期間、借主候補などを共有者全員に説明し、意見を求めることが第一歩です。

同意書や覚書の作成
口頭の合意では後々トラブルになる可能性があります。できれば書面で「賃貸に合意する」との旨を取り交わしましょう。契約書に添付することで法的効力も補完されます。

賃料の分配方法の取り決め
賃料収入は共有持分に応じて分配するのが原則です。これについても、あらかじめ文書で確認を取っておくことが望ましいです。

必要に応じて司法書士や弁護士に相談
合意形成が難しい場合や、将来の紛争予防を重視する場合は、専門家のサポートを受けることで安心して契約を結ぶことができます。

 

共有持分の賃貸以外の選択肢と検討事項


共有持分の扱いに困った場合、「賃貸」以外にもいくつかの選択肢があります。

1. 持分の売却
共有関係に問題がある場合、持分を他の共有者または第三者に売却する方法もあります。ただし、第三者に売却すると新たな共有者との関係構築が必要になるため、慎重な検討が必要です。

2. 持分の買取交渉
他の共有者と協議して持分を買い取ってもらう方法です。持分を一本化することで、自由な賃貸や売却が可能になります。

3. 分筆や換価分割の活用
共有状態を解消するために、不動産を物理的に分割する「分筆」や、不動産を売却して売却益を分ける「換価分割」なども選択肢となります。

いずれの方法も、トラブルの予防や将来の活用を見据えて検討することが重要です。特に「共有持分 賃貸借契約」が難しい場合は、他の手段も視野に入れることで合理的な解決が図れます。


共有持分の賃貸借契約で失敗しないためのまとめとアドバイス


「共有持分 賃貸借契約」は、法的には可能な行為ではあるものの、その実行には多くの注意点が伴います。最大のポイントは、「共有者全員の同意」を得ることに尽きます。この同意がなければ、契約が無効になったり、トラブルに発展したりするリスクが極めて高いのです。

また、共有持分者間での信頼関係が揺らいでしまうと、物件の管理や今後の活用に支障をきたすことになります。賃貸借契約を締結する前には、以下の点を確認・実行することが推奨されます。

賃貸の目的・条件を明確にし、全員で共有する

書面による合意書を作成する

賃料の取り扱いや費用分担を明確化する

紛争予防のために専門家を交える

共有不動産は、管理・運用において合意形成が極めて重要な要素です。特に「共有持分 賃貸借契約」のように、外部との関係が生じる場面では、慎重な対応が求められます。リスクを抑えながら円滑に運用するためにも、適切な手続きを踏み、透明性のある関係を維持することが、成功のカギとなります。

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