コラム
共有持分の権利を知る!できること・できないことの違い
更新日時:2025年10月14日
共有持分とは?権利の仕組みを理解しよう
まずは「共有持分」について、その概念と仕組みをおさらいしましょう。共有持分とは、1つの不動産を複数人で共同所有しており、それぞれが所有権の割合(持分)を持っている状態です。
たとえば、兄弟が相続によって土地を2分の1ずつ所有している場合、それぞれが「2分の1の共有持分」を有していることになります。ここで重要なのは、共有持分者が「物理的な区画」ではなく、「抽象的な割合」を所有している点です。
民法では、共有物に対する行為を次の3つに分類しています。
保存行為(単独で可能)
管理行為(持分の過半数で決定)
変更行為(全員の合意が必要)
この区分を理解することが、「共有持分 できること」を把握する第一歩となります。

共有持分で「できること」とは?
共有者であっても、自分の持分の範囲内では一定の行為を自由に行うことが可能です。ここでは、共有者が他人の承諾なく単独で「できること」を整理します。
■ ① 持分の売却・譲渡
自分が保有する持分は、他人に自由に売却・譲渡できます。共有物全体の売却は他の共有者の合意が必要ですが、持分だけなら単独での処分が可能です。ただし、売却先によってはトラブルの原因になることもあります。
■ ② 使用・居住(ただし制限あり)
持分を持つ者は、物件を使用する権利があります。たとえば、共有の家に居住することも可能です。ただし「単独での専有使用」は他の共有者との調整が必要で、勝手な占有は「不当利得」とされるケースも。
■ ③ 保存行為(修繕・維持)
建物の劣化を防ぐための修理や保守といった「保存行為」は、他の共有者の同意がなくても単独で実行可能です。これは民法第252条に基づいており、たとえば屋根の雨漏り修理などは自費で対応できます。
共有持分で「できないこと」とは?
一方、共有者だからといって、自由に行えることばかりではありません。特に次のような行為は、他の共有者の同意が必要です。
■ ① 建て替え・大規模リフォーム
建物を取り壊して新築する「建て替え」や、構造を変更するような大規模リフォームは「変更行為」に該当し、共有者全員の同意が必要です。たとえ費用を全額自己負担するとしても、勝手には行えません。
■ ② 物件全体の売却や賃貸
不動産全体を売却したり、第三者に賃貸するには、原則として他の共有者の合意が必要です。たとえば、土地を貸して駐車場経営を始めたい場合でも、過半数以上の同意がないと「管理行為」として成立しません。
■ ③ 専有利用・立ち退き要求
共有者であっても、自分以外の共有者を一方的に立ち退かせたり、物件を自分だけで占有することは原則できません。実際の居住や利用には、協議と合意が欠かせません。
共有者同士の意思決定と合意形成
「共有持分 できること」を最大限に活かすには、他の共有者との円滑なコミュニケーションが不可欠です。意思決定には以下のような原則が存在します。
■ 管理行為は「過半数」の同意で可能 例えば、物件の賃貸(短期賃貸借)、軽微な改修、使用方法の変更などは、持分の「過半数」による合意で決定できます。人数ではなく「持分割合」による多数決である点に注意が必要です。
■ 変更行為は「全員一致」が原則
前述の通り、建て替えや解体など大きな変更を伴う行為は、1人でも反対者がいると実行不可能です。この点を理解せずに進めると、法的なトラブルに発展することがあります。
■ 協議の証拠を「書面」で残す
合意を得た場合でも、後のトラブルを避けるために、協議内容を「合意書」や「覚書」として文書化しておくことが望ましいです。将来的な裁判や交渉において、重要な証拠となります。
トラブルを防ぐための実践的ポイント
共有持分に関する権利関係は複雑であり、曖昧な理解のまま利用・処分を行うと、深刻なトラブルを引き起こします。以下に実践的なトラブル回避ポイントを紹介します。
■ ① 初期の合意形成が重要
相続や共同購入の段階で、使用方法や処分方針についてあらかじめルールを決めておくと、後の混乱を防げます。特に、将来的な売却条件や誰が住むかについての合意は不可欠です。
■ ② 専門家に相談する
弁護士や司法書士、不動産会社などの専門家に相談することで、法律的な誤解や損失を防ぐことができます。特に、共有持分の売却や分割を検討している場合は、第三者の意見を挟むことが有効です。
■ ③ 任意分割・調停・訴訟の活用
共有者間の協議で合意できない場合、裁判所の調停や「共有物分割請求訴訟」を通じて、共有関係の解消を図る方法もあります。法的手続きによって、共有物の分割や売却が実現できるケースもあります。

共有持分と上手につきあうために
共有持分 できること・できないことを正しく理解することは、不動産のトラブルを未然に防ぎ、将来の資産形成にも直結します。単独所有と違って、共有物件には「協議と合意」が欠かせません。だからこそ、法的知識と実践的対応が求められます。
■ 持分を売却・解消する選択肢も視野に
どうしても合意が得られず、不自由な状態が続く場合は、持分の売却や共有状態の解消を検討するのも一つの手です。現在では、共有持分の買取を専門に扱う業者も増えており、以前よりも売却のハードルは下がっています。
■ 感情より「事実」と「手続き」
共有者が家族や親族である場合、感情的な対立が起こりやすいですが、大切なのは法的事実と手続きに基づいた冷静な判断です。感情的にならず、早めに対応することで将来の損失を最小限に抑えることができます。
