コラム
話が通じない共有者…トラブル時に知っておきたい5つの対処法
更新日時:2025年07月11日

よくあるトラブル①「活用方法をめぐって対立する」
共有不動産に関するトラブルで最も多いのが、活用方法をめぐる意見の対立です。共有不動産に関する行為は、その内容によって「保存行為」「管理行為」「変更行為」の3つに分類されており、それぞれ意思決定の要件が異なります。

例えば、不動産を賃貸に出して収益を得たい場合は「管理行為」にあたるため、共有者の持分価格の過半数の同意が必要です。さらに、不動産の売却ともなれば、共有者全員の同意がなければ進められません。
このように、活用方法一つとっても共有者間の合意形成が不可欠なため、意見が対立すると、不動産が「塩漬け」状態になってしまいかねないのです。
よくあるトラブル②「一人の共有者が勝手に占有している」
共有者の一人が、他の共有者の許可なく不動産を占有し、事実上、独占的に使用しているというトラブルも少なくありません。
民法では、各共有者はその持分割合に応じて、共有不動産の「全部」を使用する権利があると定められています。そのため、共有者の一人が不動産全体を占有していたとしても、それは「持分割合に応じた使用」の範囲内とみなされ、ただちに明け渡しを求めるのは困難です。
明け渡しを求めるには、その占有に正当な理由がないことや、共有者間で取り決めたルールに違反していることなどを具体的に主張し、証明する必要があります。面倒ではありますが、このような状態を放置していると占有している共有者に時効取得が認められ、最悪の場合、所有権を失うリスクもあるため注意しなければなりません。
よくあるトラブル③「税金や維持費の負担割合で対立する」
共有不動産を所有していると、固定資産税・都市計画税や火災保険料、建物の維持管理費用などが継続的に発生します。これらの費用は、持分割合に応じて共有者全員で負担するのが原則です。
しかし、実際には「不動産を使っていないから払いたくない」「経済的に余裕がない」など、費用負担に非協力的な共有者が現れることもあり、負担割合をめぐるトラブルはつきものです。
特に、毎年支払い義務が生じる固定資産税などは、共有者の一人が代表者となって一括で納税した後、他の共有者にそれぞれの負担分を請求するのが一般的ですが、この請求に応じない共有者がいた場合は大きな問題になります。税金を立て替えた人の金銭的・精神的な負担が重くなるため、トラブルに発展しやすくなるでしょう。
【関連リンク】共有不動産における固定資産税の分担方法について詳しく解説
よくあるトラブル④「共有者が音信不通になる」
相続を繰り返すうちに共有者の数が増えてくると、そもそも一部の共有者と連絡が取れない、どこにいるかわからないといった問題が発生することがあります。
共有者が一人でも音信不通の状態にあると、不動産全体を売却するような「変更行為」はもちろん、賃貸に出すといった「管理行為」さえも、同意形成ができずに進められなくなるおそれがあります。
この問題に対応するため、2023年4月に民法が改正。所在不明の共有者がいる場合でも、残りの共有者の同意または持分価格の過半数の同意によって、変更・管理行為ができるようになりました。ただし、この手続きを利用するには裁判所に申し立てる必要があり、解決までに時間・手間・費用がかかる点に注意が必要です。
よくあるトラブル⑤「共有持分の相続で権利が複雑化する」
共有者が亡くなると、その共有持分は配偶者や子どもなどの相続人へ引き継がれます。このとき、相続人が複数いる場合、一つの共有持分がさらに細分化され、新たな共有者が増えることになります。このような世代交代が繰り返されると、権利関係がますます複雑化していき、最終的には誰が共有者なのか正確に把握することすら困難になりかねません。
こうなると売却や利活用はもちろん、管理や修繕に関する合意形成もままならなくなり、最悪の場合、管理不全のまま放置される事態になるでしょう。

共有不動産によるトラブルの解決策
これまで見てきたように、共有不動産には多くのリスクが潜んでいます。トラブルを解決するには、次のような解決策が有効です。
・共有者間で協議する
・共有物分割訴訟を提起する
・共有持分を放棄する
・共有持分を売却する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
共有者間で協議する
共有不動産に関するトラブルを解決するための第一歩は、共有者全員で協議の場を持つことです。これは解決に向けた最も基本的で、かつ重要なステップです。
自分が不動産の現状に不満や不安を感じている場合、他の共有者も同様の問題意識を抱えている可能性は高いでしょう。まずは、お互いの意見や希望を率直に話し合い、現状を共有することが、解決への糸口を見つける近道です。
もし、すべての共有者が共有状態の解消を望んでいるのであれば、不動産全体を売却して代金を分配する方法や、特定の共有者が他の共有者の持分をすべて買い取るといった、具体的な解決策を検討できるでしょう。
共有物分割訴訟を提起する
共有者間での協議がまとまらない場合や、そもそも話し合いに応じない共有者がいる場合は、裁判所に「共有物分割訴訟」を提起する方法があります。
裁判所が下す分割方法には、「現物分割」「代金分割」「価格賠償による分割」の3種類があります。競売による代金分割となった場合、市場価格よりも安い価格で売却されてしまうリスクがあるため注意しましょう。
また、裁判所はあくまで共有物の公平な分割を最優先に判断するため、必ずしも自分の望むとおりの分割方法になるとは限りません。しかし、強制的に共有状態を解消できるうえ、公平性が担保されるので納得感は得やすいでしょう。
【関連記事】共有物分割訴訟記事へリンク
共有持分を放棄する
共有不動産全体の問題として解決するのではなく、「自分だけでも共有関係から抜け出したい」と考えるのであれば、共有持分を放棄するのも一つの手段です。持分の放棄は共有者単独の意思で行うことができ、放棄された持分は、持分割合に応じて他の共有者へ分配されます。
ただし、持分放棄に伴う登記の変更手続きには、他の共有者の協力が必要となります。また、放棄によって持分が増える他の共有者には、贈与税の支払いや固定資産税の増加といった負担が及ぶ可能性があるため、結果的に他の共有者の同意が不可欠です。加えて、金銭を一切得られないのもデメリットといえるでしょう。
共有持分を売却する
自分の有する共有持分のみを売却する場合、他の共有者の同意を得る必要はありません。まずは、関係性が良好な他の共有者に、自身の持分を買い取ってもらえないか打診してみましょう。それが難しい場合は、第三者への売却を検討します。共有持分は一般の市場では買い手がつきにくいため、共有持分を専門に扱う買取業者に売却するのが基本です。
この方法は、比較的スムーズに共有関係から離脱できるうえ、売却代金を得られるのが魅力です。ただし、他の共有者に一切知らせずに売却を進めると、後々のトラブルに発展するおそれもあります。同意は不要であっても、売却する旨を事前に伝えておくのが賢明でしょう。

まとめ
共有不動産は、さまざまな場面で共有者間のトラブルに発展しやすいのが課題です。問題を放置すると、権利関係がますます複雑化し、解決が一層困難になりかねません。
解決策としては、まず共有者間での協議を試みることが大前提です。それが難しい場合は、訴訟や持分放棄といった選択肢もありますが、共有持分のみを専門の買取業者に売却する方法が最も現実的な解決策といえるでしょう。