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共有物分割請求訴訟で相続した共有不動産の共有を解消できる?

更新日時:2023年04月23日

被相続人が亡くなった時に不動産を相続した場合、法定相続人が不動産の共有者となって持分が割り当てられます。相続した不動産を共有者間で
どう取り扱っていくかは話し合って決めていかなければなりませんが、共有者全員が一つの目的に対して合意しなければなりません。
誰か一人でも合意しない限り、共有不動産を売却することも増改築することもできないので注意が必要です。
しかし、何回話し合っても合意に至らない場合は、最終手段として共有物分割請求訴訟を行う選択肢があります。
それでは共有物分割請求訴訟について、事例を交えてご説明しましょう。

【共有不動産の取り扱いに対して合意できず、やむなく共有物分割請求訴訟に至った事例】
父が亡くなったことで所有していた不動産を長女、次女、長男の人で3分の1ずつ共有持分を相続することになりました。
しかし、この3人はそれぞれ売却したい、住み続けたい、第三者に貸したいと意見が割れており、それぞれの意見を通すには話を重ねるしか方法がない状態でした。
何回か話を重ねた結果、次女と長男の意見がまとまり、第三者に貸す方向性で合意しましたが、長女だけは売却したい考えを変えるつもりはありませんでした。
これ以上話し合っても埒が明かないと思った長女は、共有を解消するため共有物分割請求訴訟を起こすことにしました。

〇共有物分割請求訴訟とは
共有物分割請求訴訟とは、共有不動産の共有を解消するために請求する訴訟です。
共有物分割請求訴訟は、裁判所を通して他の共有者に共有持分の解消を求めます。これにより、申立人が換価分割、代償分割、現物分割の
いずれかから共有状態の解消方法を提案し、共有状態を解消していきます。

共有物分割請求訴訟は、他の共有者との間で意見が対立していても関係なく共有状態が解消できるため、まさに最終手段と言える方法です。
さらに、代償分割等で他の共有者が買い取りたいという時、価格の折り合いがつかない場合には裁判所指定の不動産鑑定士に
適正な価格を鑑定してもらうことも可能です。(別途費用がかかります) 裁判で双方主張し合い、納得のいく共有解消も期待できます。
但し、共有物分割請求訴訟によって共有状態を解消するまでに半年から長くて数年程度とかなりの時間がかかるのが大きなデメリットです。
また、弁護士に相談する必要があるので100万円以上の弁護士費用が発生する上に、必ずしも自分が望む解決方法になるとは限りません。
裁判所の判断次第では、不動産そのものが競売に出されて安く売却することになる可能性もあります。

共有物分割請求訴訟を選択する場合は、本当に他に共有状態を解消する方法がないか、他に共有者で合意できる方法がないか模索することが大切です。



 

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