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相談事例

不動産の共有持分の放棄について

更新日時:2026年06月20日

相続によって不動産の共有持分を取得したものの、「自分の持分割合がごくわずかである」「共有者の人数が多すぎて管理や話し合いがまとまらない」
といった理由から、共有持分を放棄したいというご相談をいただくケースが増えています。
民法第255条では、「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と定めています。
つまり、特定の誰かに譲渡するのではなく、あなたが持分を手放すことで、自動的に他の共有者へその持分が移ることになります。このとき、他に複数の
共有者がいる場合は、一人の人がすべてを引き取るわけではありません。残った共有者全員に対して、それぞれの「現在の持分割合(比率)」に応じて按分され、
公平に帰属(分配)される仕組みとなっています。

 法律上、共有持分の放棄は「単独行為」とされており、他の共有者の同意を得ることなく、いつでも一方的な意思表示のみで行うことができます。しかし、
ここに実務上の大きな落とし穴があります。「放棄する」という意思表示をしただけでは、法務局にある不動産登記簿の名義は自動的には切り替わりません。
第三者に対して「私はもう共有者ではありません」と主張するためには、持分移転登記を行う必要があります。そして、この登記手続きは、実務上、持分を
放棄する人(登記義務者)と、その持分を取得することになった他の共有者全員(登記権利者)が「共同」で申請しなければならないのが原則です。
そのため、事前に他の共有者へ説明し、押印や必要書類の提出といった協力を得ることが不可欠となります。

また、実務において特に注意すべきなのが「税金(贈与税)」の問題です。持分の放棄は対価を得ない行為であるため、税務上は「みなし贈与」として扱われます。
つまり、持分が増えた他の共有者に対して贈与税が課される可能性があり、この思わぬ税金負担が原因で、他の共有者が登記手続き(名義変更)の協力を拒む
ケースがあります。もし、他の共有者が登記申請に応じない場合、共有状態は解消されないまま不動産の名義は残ってしまいます。これを解決するためには、
裁判所に対して『登記引取請求訴訟』を提起することになります。これは、本来その持分を引き取るべき共有者を相手取り、「名義を引き取りなさい」という
判決を裁判所に求める手続きです。この訴訟を起こし、裁判所で請求が認められれば、単独での登記申請が可能となります。ただし、訴訟に踏み切るには
時間と弁護士費用等のコストがかかるため、あくまで最終手段と言えます。将来的な紛争を避けるためにも、できるだけ他の共有者から登記申請への協力を
取り付けることが最善かつ円満な解決への近道です。



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